【AIではダメ?】契約書を作るメリット3選と相談先の専門家【元裁判所書記官行政書士が解説】

法律にまつわること

こんにちは、元裁判所書記官で現在行政書士をしている鷲見凌弥と申します!

今回は、

「契約書を作成するメリットは?」
「契約書をAIで作るのってどうなの?」

こういった方の疑問を解消できるよう、解説していきます!

私は現在、愛媛県松山市で行政書士をしています。
裁判所での勤務経験を活かし、契約書、示談書、遺言書、遺産分割協議書、内容証明郵便の作成などの「裁判にならないための民事法務」を中心に、各種許認可申請・届出などの業務も取り扱っております。
松山市、松前町、伊予市、砥部町、東温市など愛媛県内を中心に、ホームページからメールにて、全国からもご相談を受け付けております。
ホームページはこちら→鷲見行政書士事務所(外部リンク)

契約書を作るメリット3選

①契約をしたことが明確になる

契約書を作成するメリットの1つ目は、契約をしたという事実が明確になるという点です。

大前提として、契約書を作成しない口約束でも、契約は成立するのが原則です。

(イメージしやすい例外としては、連帯保証人になるような場合です。保証契約は「書面でしなければ、その効力を生じない。」と法律で決められています。このような場合は口約束だけでは成立しないことになります。)

口約束でも契約が成立するのが原則であるにもかかわらず契約書が作成されるのは、口約束だけでは「言った(契約した)」「言わない(契約してない)」のトラブルが発生する可能性があるためです。

契約する人同士が署名・押印などをして契約書を作成することで、この人たちの間で契約が成立したという事実がモノとして残り、後々の「言った」「言わない」のトラブルを防止できることになります。

なお、以下のメリットにも当てはまる部分のある話ですが、モノ(証拠)として残るのであれば必ずしも紙で作成しなければならないわけではないので、電子契約書も有用です(場合によってはメール・チャットなども)。

(話の本筋からは逸れますが、電子契約書の場合は、紙の契約書と違い、印紙税がかからないというメリットもあります。)

②どんな内容で契約したかが明確になる

2つ目のメリットは、どのような内容で契約したのかが明確になるという点です。

例えば、貸主Aさん、借主Bさんでお金の貸し借りをする場面を想定してみましょう。

口座振込でお金を渡せば履歴がモノとして残るからと考え、契約書や借用書などを作成しなかったとします。

そして迎えた返済の期限。借主Bさんがまともな人なら良かったのですが…

B「お金を受け取ったことはあるが、これは借りたんじゃなくて貰ったものだ。返さない。」

他にもこんな言い訳をしてくるかもしれません。

B「履歴にあるお金は借りたものだが、返済の期限はまだまだ先だ。今はまだ返さない。」

この例え話のように、モノとして残っているものがあっても、それだけではどのような契約があったのかわからないことがあります。

契約書を作成しておけば、渡すお金があげるものではなく貸すものだということ、貸す金額がいくらか、返済期限がいつか、利息はいくらか、返さなかった場合の遅延損害金はいくらか、といったような契約の内容を明確に残しておくことができます

(なお、このケースでは契約書作成の有無で適用される法律の条文が変わりますが、本筋ではないので割愛します。)

もちろん、お金の貸し借りの場面だけでなく、商品の売買やサービスの提供の場面で、どんな商品・サービスか、渡す・提供するのはいつか、代金はいくらか、支払いはいつまでか、といった内容を定めるように、あらゆる場面で同じように考えることができます。

③契約内容をカスタマイズできる

3つ目のメリットは、契約内容をカスタマイズできるという点です。

「②どんな内容で契約したかが明確になる」に含まれるメリットなのですが、別の視点から説明します。

契約内容を「カスタマイズできる」とは、「法律で決められているルールを契約者間で修正できる」ということです。

法律の規定には、

  • 強行法規(契約者間で合意しても変えられないルール)
  • 任意法規(契約者間で合意すれば変えられるルール)

の2種類があります。

後者の任意法規の方を、契約者間の望む契約内容に修正しようという話ですね。

例えば、実は、家賃は後払いなのが法律上のルールです。
(例:5月に入ってから4月分の家賃を払う。)

しかし、実際には、家賃は前払いになっているのが一般的でしょう。
(例:3月中に4月分の家賃を前払いする。)

これは、家賃後払いという法律のルール(任意法規)を、契約者間の意思で前払いに修正しているからなんです。
家を借りた際の賃貸借契約書を確認してもらえれば、家賃は毎月末日までに翌月分を支払うといった旨の記載があると思います。

また、こういったお金の支払い時期以外にも、損害賠償の範囲を法律よりも狭い範囲に制限したり、契約解除の条件を法律よりも緩くしたりすることが可能です。

これらの細かいカスタマイズを口約束で行うのは現実的ではないですし、また、裁判になってしまっときにどの裁判所で手続を行うかの指定(管轄合意)のように書面で行う必要があるものもあります

また、契約内容を文字に起こしながらカスタマイズしていく過程で、リスクを分析し、契約内容をさらに交渉していくことにも繋げることができます。

以上のように、契約内容をカスタマイズし、明確に文章化し、その契約が成立したこともをモノとして残すことができるのが契約書を作るメリットと言えます。



契約書作成の相談先

契約書は自分でも作成することができますが、作成やチェックを専門家に依頼することも可能です。

専門家ごとに特徴もあります。

弁護士

まずは弁護士です。法的な業務全般を取り扱うことのできる専門家です。

契約書の作成だけでなく、契約内容の交渉や、裁判に発展してしまった場合の対応まで行えるのが特徴です。

費用は、次に説明する行政書士と比較すると高額になるのが一般的です。

依頼できる契約書:幅広(特に、専門家による交渉があるべきものや、訴訟リスクが高いもの)

行政書士

行政書士は、「権利義務又は事実証明に関する書類」の作成を業務の1つとする専門家、つまり契約書作成の専門家です。
また、各種の営業許可、自動車の登録など行政手続の専門家でもあります。

幅広く契約書を作成することができますが、交渉や裁判を担当することはできません。

費用は、弁護士や、次に説明する司法書士と比較するとリーズナブルな場合が多いです。

依頼できる契約書:幅広(特に、行政手続が絡むもの)

司法書士

司法書士は、登記手続や、裁判所に提出する書類の作成などについての専門家です。

上記の専門領域以外の契約書を作成できるとする法律上の明文はないものの、実務上はそれら以外の契約書の作成も行われています。

司法書士は裁判所への書類作成ができたり、認定司法書士であれば法的な争いごとの一部について代理人になれたりするため、裁判に至った場合、手続を依頼できる部分もあります。

依頼できる契約書:実務上、幅広(特に、不動産や会社の登記が絡むもの)

社会保険労務士

社会保険労務士(社労士)は、労働や社会保険に関する専門家です。

契約書の作成自体は行政書士の業務ですが、労務に関する契約書などに関しては社労士に相談をすることも可能です。

依頼できる契約書:雇用契約書など、労務に関するもの

弁理士

弁理士は、特許、商標など知的財産に関する専門家です。

知的財産に関する契約書は弁理士にも作成を依頼することができます。

依頼できる契約書:ライセンス契約書、秘密保持契約書など、知的財産に関するもの



AIではダメなのか

AIには時間とお金がかからない

専門家に相談する場合は、費用や打ち合わせの時間が必要になります。

一方、AIは基本的に自分の都合の良い時間にやりとりができ、その場で回答・文案作成をしてくれます。
また、普段から使っているAIを使えば追加で費用がかかることもありません。

【重要】AIの回答には誤りが含まれる可能性がある

しかし、AIは誤った回答をする可能性があるという点は重要です。

自分の専門分野についてAIに聞いたことがある人であれば共感できるかと思いますが、彼ら彼女らは割と間違えます。

契約書でいえば、最新の法改正・判例に対応できていない、リスク評価やリスクへの備えが適切でないなどの可能性が考えられます。

AIは便利ではありますが、その回答内容が正しいのか人間側が判断できなければ活用できているとは言えません

AIのみを利用する場合は、誤りがある可能性を踏まえた上で、権利や義務が自己責任で生じるという認識が必要となります。

まとめ

今回は、契約書作成のメリット・相談先の専門家・AIを利用する際の注意点を解説していきました。

契約書を作るメリット3選

  • 契約をしたことが明確になる
  • どんな内容で契約したかが明確になる
  • 契約内容をカスタマイズできる

契約書作成の相談先

  • 弁護士:幅広く対応可能。契約書のみならず、交渉・裁判も対応可能
  • 行政書士:幅広く対応可能。行政手続も対応可能。比較的リーズナブル
  • 司法書士:実務上幅広く対応。不動産や会社関係なら登記も対応可能
  • 社労士:労務に関するものの対応が可能(雇用契約書など)
  • 弁理士:知的財産に関するものの対応が可能(ライセンス契約書など)

AIの利用に関して

  • 時間やお金はかからない
  • AIの回答には誤りが含まれる可能性(重要)→利用は自己責任

この記事が、契約書の作成を検討している方の参考となれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ご相談が必要な場合は、お気軽にお問い合わせください。

ご相談に関するお問い合わせ:鷲見行政書士事務所ホームページ(外部リンク)

当ブログに関するお問い合わせ:当ブログお問い合わせページ

コメント

タイトルとURLをコピーしました