【行政書士と業際】各士業の独占業務について

行政書士試験
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こんにちは、元裁判所書記官で現在行政書士をしている鷲見凌弥と申します。

今回は、行政書士と他士業との業際を主眼に置いて、各士業の独占業務についてまとめていきます。

というのも、行政書士の業務範囲の外縁は、行政書士法上、他士業法によって定められる作りになっているため、

行政書士には何ができて何ができないのかを押さえるためには、他士業法(特に他士業の「独占」業務)の理解も必要となるからです。

この記事は自分自身が業際をあらためて確認した際に作成したものであり、主に開業後間もない行政書士が誤って業際を超えてしまうことがないことを祈って公開するものです。
(とは言いつつ、この記事執筆時点では自分も2年目なので歴はまだまだ浅いのですが…)

そのため、「書類」には「電磁的記録」が含まれるといった法令に当たれば一見して明らかな部分や、行政書士における業際とはあまり関係のない部分などについては大雑把に記載しています。

最終的には自分で業際を判断し責任を取るべき資格者向けの、ざっくりした足がかり的な記事という前提でご覧いただければと思います。

(なお、業際を超えない部分は全て行政書士が担うべきだという趣旨の記事でもありません。)

行政書士

独占業務:官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成
(有償独占。行政書士法19条1項、1条の3)

刑事上の罰則:一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金(同法21条の2)

まずは参考として、行政書士の独占業務から見ていきますが、

行政書士法での規制としては、書類作成について有償独占としており、相談業務や提出行為は(少なくとも文言上は)独占業務としていないことがわかります。

弁護士

独占業務:一般の法律事件に関する法律事務の取扱いとそれらの周旋
(有償独占。弁護士法72条)

刑事上の罰則:二年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金(同法77条3号)

行政書士との業際では「法的紛議」とその予測を重視した事案が見られます。
(最一小平成22年7月20日決定、大阪高裁平成26年6月12日判決など)

なお、上記の判例は、事例判断である点や単なる書類作成業務以外も行なっている点に留意が必要です。



司法書士

独占業務:
①登記・供託に関する手続の代理
②(地方)法務局に提出・提供する書類の作成
③(地方)法務局の長に対する登記・供託に関する審査請求の手続の代理
④裁判所・検察庁に提出する書類、筆界特定の手続において(地方)法務局に提出・提供する書類の作成
⑤①〜④の事務についての相談
(無償独占。司法書士法73条1項、3条1項1〜5号)

刑事上の罰則:一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金(同法78条1項)

無償独占かつ相談業務も独占業務に含まれている点に留意が必要です。
ざっくり、法務局・裁判所・検察庁に出す書類の作成や、法務局での手続の代理は規制されているイメージです。

なお、身近な例外として、法定相続情報一覧図関係については、不動産登記規則247条2項2号、戸籍法10条の2第3項により行政書士による関与が認められています。

(自筆証書遺言書保管制度に関する書類作成は行政書士の関与NGのため注意が必要です。)

土地家屋調査士

独占業務:
①不動産の表示に関する登記について必要な土地・家屋に関する調査・測量
②不動産の表示に関する登記の申請手続・審査請求の手続の代理
③不動産の表示に関する登記の申請手続・審査請求の手続について(地方)法務局に提出・提供する書類の作成
④筆界特定の手続の代理
⑤筆界特定の手続について(地方)法務局に提出・提供する書類の作成
⑥①〜⑤の事務についての相談
(無償独占。土地家屋調査士法68条1項、3条1項1〜6号)

刑事上の罰則:一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金(同法73条1項)

司法書士と同じく、無償独占かつ相談業務も独占業務に含まれており、ざっくり、表示の登記や筆界、法務局関係が規制されているイメージです。

なお、官民境界確認の手続は行政書士業務とされています。



税理士

独占業務:「租税」に関して、
①税務代理に対する租税に関する法令・行政不服審査法の規定に基づく申告・申請・請求・不服申立てにつき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査・処分に関し税務官公署に対してする主張・陳述の代理・代行
②税務書類の作成
③税務相談
(無償独占。税理士法52条、2条1項)

刑事上の罰則:二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金(同法59条4号)

無償独占かつ相談業務も独占業務に含まれており、ざっくり、税務関係が規制されているイメージです。

なお、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務は、税理士法上の独占業務ではありません。
(同法2条2項参照)
公認会計士法に財務関係の独占業務の規定があります(後述)。

また、「租税」には印紙税、登録免許税、関税等が除かれていたり、同法51条の2でゴルフ場利用税、自動車税、軽自動車税、事業所税等の税務書類の作成が行政書士(法人)の業務としても認められていたりと、細かな例外が多くあります。

社会保険労務士

独占業務:
①「労働社会保険諸法令」に基づく申請書等の作成
②申請書等について、その提出に関する手続の代行
③労働社会保険諸法令に基づく申請・届出・報告・審査請求・再審査請求その他の事項について、又は当該申請等に係る行政機関等の調査・処分に関し当該行政機関等に対してする主張・陳述についての代理
④(ざっくり)関係法令に基づく労働関係紛争の手続の代理
⑤労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成
(有償独占。社会保険労務士法27条、2条1項1〜2号)

刑事上の罰則:一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金(同法32条の2第1項6号)

有償独占かつ相談業務は独占業務ではないという点で、行政書士と近い規制となっていますが、提出行為や代理行為は独占業務となっている点では異なります。

「労働社会保険諸法令」は同法別表第一に定められていますが、数が多いので、覚えるというよりは社労士業務とも思われる依頼が来たら都度確認するという方が良いと思われます。

(「デイサービス」と一口に言っても、
児童福祉法に基づく放課後等デイサービス関係は行政書士業務(現在はこども家庭庁管轄)、
介護保険法に基づく高齢者のデイサービス関係は社労士業務…など)

なお、雇用契約書の「作成」は、行政書士の独占業務とされています。

参考:「規制改革ホットライン検討要請項目の現状と対応策」(受付番号:300724001)
上記参考の掲載ページ:内閣府HP



弁理士

独占業務:“特許・実用新案・意匠・商標・国際出願・意匠に係る国際登録出願・商標に係る国際登録出願に関する特許庁における手続”、“特許・実用新案・意匠・商標に関する行政不服審査法の規定による審査請求・裁定に関する経済産業大臣に対する手続”についての代理(特許料の納付手続についての代理、特許原簿への登録の申請手続についての代理その他の政令で定めるものを除く。)又はこれらの手続に係る事項に関する鑑定若しくは政令で定める書類の作成
(有償独占。弁理士法75条、弁理士法施行令8条)

刑事上の罰則:一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金(同法79条3号)

有償独占で、かつ、特許等の特許庁・経産大臣への手続関係のみが独占業務とされおり、相談業務や知的財産権に関する契約書などの作成については独占業務とはされていません。

また、弁理士の使命規定としては「知的財産の専門家」として著作権を含む規定となっていますが(同法1条)、著作権の登録手続は行政書士の業務範囲となります。
(著作権は知財ではありますが、文化庁管轄)

海事代理士

独占業務:国土交通省の機関・(地方)法務局(の支局・出張所)・都道府県の機関・市町村の機関に対し、別表第二に定める法令(ざっくり、海・船・港に関する法令)の規定に基づく申請・届出・登記・その他の手続をすること、これらの手続に関する書類の作成
(無償独占。海事代理士法17条1項、1条)

刑事上の罰則:六月以下の拘禁刑又は二万円以下の罰金(同法27条)

無償独占で、書類作成まで独占業務となっていますが、相談業務は独占業務とはなっていません。

海・船・港に関係する手続の依頼が来た場合に、都度確認することになると思われます。



公認会計士

独占業務:財務書類の監査・証明
(有償独占。公認会計士法47条の2、2条1項)

刑事上の罰則:二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金(同法50条)

有償独占で、財務書類の「監査」・「証明」のみが独占業務とされており、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行などは独占業務とはなっていません。

その他とまとめ

その他の士業

行政書士との業際問題は生じにくいと思われますが、ざっくり、

  • 不動産鑑定士:不動産の鑑定評価
  • 宅地建物取引士:①重要事項の説明、②重要事項説明書への記名、③契約書への記名
  • 建築士:一定規模を超える建築物の①設計、②工事監理
  • 測量士(補):測量

といった他士業の独占業務もあります。

なお、中小企業診断士には独占業務はありませんので、行政書士側から業際に関して注意すべきポイントはありません。

まとめ

有償独占か無償独占か、相談に応じること自体も独占業務か、といった規定の仕方は各士業法によって異なるため、注意が必要となります。

この記事に間違い等がございましたら、ご連絡いただけますと幸いです。

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