こんにちは、元裁判所書記官で現在行政書士をしている鷲見凌弥と申します!
今回は、
「内容証明郵便をAIで作るのってどうなの?」
「専門家に依頼するメリットは?」
こういった方の疑問を解消できるよう、解説していきます!
私は現在、愛媛県松山市で行政書士をしています。
裁判所での勤務経験を活かし、契約書、示談書、遺言書、遺産分割協議書、内容証明郵便の作成などの「裁判にならないための民事法務」を中心に、各種許認可申請・届出などの業務も取り扱っております。
松山市、松前町、伊予市、砥部町、東温市など愛媛県内を中心に、ホームページからメールにて、全国からもご相談を受け付けております。
ホームページはこちら→鷲見行政書士事務所(外部リンク)
そもそも内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、一言で言うと、「いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったか」を、郵便局が証明してくれる郵便方法です。
文書の内容そのものが正しいかどうかや、相手がその内容に同意したかどうかまで証明されるものではありませんが、郵送した文章の謄本(コピー)を郵便局が保管して、上記のとおり証明してくれるので、のちのち「そんな内容は書いてなかった」と言われることを防ぐことができます。
実務上は、この内容証明と併せて、「配達証明」(「相手にいつ配達されたか」を郵便局が証明してくれる郵便方法)も利用することが多いです。
内容証明と併用することで、「送った事実」だけでなく「届いた事実」も証明でき、「そんな手紙は届いていない」と言われることを防ぐことができます。
これらの内容証明・配達証明は、主に未払家賃の請求や契約解除の通知など、法的な意味を持つ場面で利用されるのが一般的です。
専門家に依頼するメリット
そんな内容証明郵便ですが、専門家に依頼せずとも自分で作成・差出しすることができます。
では、専門家に依頼した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?
内容証明が妥当か判断してもらえる
内容証明郵便は、上記のとおり法的な意味を持つ場面で利用されることが一般的です。
そのため、受取人に一定のプレッシャーを与える面があります。
また、逆に、内容証明郵便を送ったからといって、それだけで相手の支払義務が確定したり、財産の差押えができたりするわけではありません。
専門家に相談すれば、こういった点を踏まえて、内容証明郵便という手段の選択が妥当なのかを判断してもらえます。
(または判断のために必要な助言をしてもらえます。)
例えば、
- 相手との関係を良好に保ちたいのに、プレッシャーを与えるような郵便方法を選ぶのは適切でないのではないか
- 内容証明で請求すれば財産を隠されてしまう可能性があるので、訴訟提起とともに仮差押えをした方が適切ではないか
- そもそもこちらに落ち度があり、反論されると再反論できないのではないか
といった具合です。
記載すべき事項を法的に漏れなく記載してもらえる
内容証明郵便は、上記のとおり法的な意味を持つ場面で利用されることが一般的です。
そして法的な要求をする場合には、法的に記載すべき事項があります。
イメージしやすい例で言えば、「私とあなたとの間で締結した契約について、解除します!」とだけ手紙に書いても、受け取った側は「どの契約ですか?」、「法律上、何の根拠に基づいて解除するのですか?」と困惑してしまうでしょう。
この場合であれば、
- 誰と誰との間でいつ締結したどのような内容の契約か
- 契約解除が認められる法的な根拠(例:クーリングオフを理由に解除したい場合、クーリングオフの要件を満たす具体的な事実)
といった事項の記載が必要となります。
専門家に依頼した場合、このような記載すべき事項について、法的に漏れなく記載してもらえます。
また、記載すべきでない事項については、記載しないという判断もしてもらえるでしょう。
例えば、感情的な表現や不適切な表現(脅迫など)を回避することができます。
士業別のメリット
内容証明郵便の作成に関する専門家はいくつかありますので、それぞれのメリットを説明します。
弁護士の場合
弁護士は、法的な業務全般を担う専門家で、特に法的な争いごとは原則として弁護士のみ担当できます。
そのため、弁護士に依頼した場合、
- 内容証明郵便の名義を代理人弁護士名にすることで、要求の本気度が伝わる
- 送った内容に応じてもらえなかった場合、その後の手続(交渉、訴訟など)もフォローしてもらえる
といったメリットがあります。
行政書士の場合
行政書士は、「権利義務又は事実証明に関する書類」の作成を業務の1つとする専門家、つまり内容証明郵便の作成についての専門家ですが、法的な争いごとについては関与できません。
(なお、特定行政書士であれば行政に対する争い(不服申立て)の一部には関与できます。)
そのため、行政書士に依頼した場合、
- 書類作成代理人の行政書士名を記載・押印することで、平和的な関係であると考えている(法的紛議には至らないと予測している)ことが伝わる
- 一方で、きちんと専門家に相談しているという本気度も伝わる
といったメリットがあります。
(なお、法的な争いのない場面での内容証明郵便としては、債権譲渡通知や、きちんとした方法で法的に整った要求をすれば相手に応じてもらえると予測される場合などが考えられます。)
司法書士は?
司法書士は、登記手続や、裁判所に提出する書類の作成などについての専門家であり、法律上、内容証明郵便の作成を代理できるとする明文はありません。
しかし、実務上は、司法書士による内容証明郵便の作成代理も行われています。
司法書士は裁判所への書類作成ができたり、認定司法書士であれば法的な争いごとの一部について代理人になれたりするため、法的紛議に関与できる度合いとしては上記2士業の中間と言えます。
- 弁護士 法的な争いごとに、全面的に関与できる
- 司法書士 法的な争いごとの一部に関与できる
- 行政書士 法的な争いごとには関与できない(特定行政書士による例外を除く。)
そのため、メリットも上記2士業の中間と言えるかもしれません。
専門家に依頼するデメリット
ここまで、専門家に依頼するメリットを解説してきましたが、ここからはデメリットについて紹介していきたいと思います。
お金がかかる
まず、専門家に依頼するとお金がかかります。
自分で作成・差出しする場合は、送る紙の枚数にもよりますが、2000円程度の郵便費用で済むと思われます。
しかし、専門家に依頼すると、これに加えて数万円程度の報酬がかかります。
(なお、報酬金額は一般的に、弁護士≧司法書士≧行政書士という順番です。)
発送までに一定の時間がかかる
次に、専門家に依頼すると、発送までに時間がかかります。
自分で行う場合は、
- 文書の作成
- 差出し
という手順で済みますが、依頼する場合は、
- 相談予約・日程調整
- 相談・聞き取り
- 文案作成
- 依頼者の承諾
- 差出し
という手順になってしまうためです。
期限・時効があるものについて依頼する場合は、速やかに相談すべきと言えます。
士業別のデメリット
弁護士の場合
弁護士は、法的な業務全般を担う専門家であり、必ずしも争いごとのみを扱っているわけではありませんが、どうしても「裁判」、「犯罪」といったネガティブで強い言葉を思い浮かべる人もいます。
そのため、弁護士名で送った場合、相手と対立が生じたり、対立が深まったりすることがあります。
行政書士の場合
行政書士は、私人間の法的な争いごとについては関与できません。
そのため、行政書士の名前が書いてあっても「放っておいてもすぐには裁判などにならないだろう」と軽んじられる可能性があります。
司法書士は?
司法書士の場合は、メリットと同様にデメリットも他2士業の中間と言えるかもしれません。
AIではダメなのか
ここまでの専門家のメリット・デメリットの話を聞いて、「AIでいいじゃん」と思った方もいるかもしれません。
AIには時間とお金がかからない
AIは基本的に自分の都合の良い時間にやりとりができ、その場で回答・文案作成をしてくれます。
また、普段から使っているAIを使えば追加で費用がかかることもありません。
【重要】AIの回答には誤りが含まれる可能性がある
しかし、重要なのは、AIの回答には誤りが含まれる可能性があるという点です。
自分の専門分野についてAIに聞いたことがある人であれば共感できるかと思いますが、彼ら彼女らは割と間違えます。
内容証明郵便でいえば、
- 形式面での不備(内容証明郵便には文字数の要件があるところ、意外なことに、チャット型AIは文字数を数えるのが苦手です。)
- 内容面での不備(法律用語をそれっぽく使っているが法的な主張として全く成立していない、最新の法令・判例に対応できていない、など)
といった誤りが考えられます。
形式要件の不備は、発送前に郵便局で指摘されるので修正もできますが、内容に誤りがあれば内容証明郵便を送る目的がそもそも達成できないことになります。
むしろ、状況を悪化・複雑化させてしまう可能性もあります。
AIは便利ではありますが、その回答内容が正しいのか人間側が判断できなければ活用できているとは言えません。
AIのみを利用する場合は、誤りがあるリスクを引き受けた上で、自己責任で送るという覚悟が必要でしょう。
まとめ
今回は、内容証明郵便を専門家に依頼するメリット・デメリットとAIを利用する際の注意点を解説していきました。
そもそも内容証明郵便とは
- 「いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったか」を、郵便局が証明してくれる郵便方法
- 「配達証明」(「相手にいつ配達されたか」を郵便局が証明してくれる郵便方法)も併せて利用することが多い
- 法的な意味を持つ場面で利用されるのが一般的
専門家に依頼するメリット
- 内容証明郵便という手段が妥当か判断してもらえる
- 記載すべき事項を法的に漏れなく記載してもらえる
- 弁護士に依頼した場合→要求の本気度が相手に伝わり、その後のフォローもある
- 行政書士に依頼した場合→平和的な関係を示しつつ、本気度も伝わる
- 司法書士に依頼した場合→上記2士業の中間
専門家に依頼するデメリット
- お金がかかる
- 発送までに一定の時間がかかる
- 弁護士に依頼した場合→相手と対立が生じたり、対立が深まったりする可能性
- 行政書士に依頼した場合→「放っておいてもすぐには裁判などにならないだろう」と軽んじられる可能性
- 司法書士に依頼した場合→上記2士業の中間
AIの利用に関して
- 時間やお金はかからない
- AIの回答には誤りが含まれる可能性(重要)→利用は自己責任

この記事が、内容証明郵便を作成しようとしている方の参考となれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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