こんにちは、元裁判所書記官の わみ です!
今回は、
「公務員試験で裁判所職員ってあったけど、どんな仕事?」
「裁判所事務官・書記官って何?」
こういった方の疑問を解消できるよう、説明していきます!
私はすでに裁判所を退職しており、現在は愛媛県松山市で行政書士をしています。
裁判所での勤務経験を活かし、契約書、示談書、遺言書、遺産分割協議書、内容証明郵便の作成などの「裁判にならないための民事法務」を中心に、各種許認可申請・届出などの業務も取り扱っております。
松山市、松前町、伊予市、砥部町、東温市など愛媛県内を中心に、ホームページからメールにて、全国からもご相談を受け付けております。
ホームページはこちら→鷲見行政書士事務所(外部リンク)
裁判所職員とは
まず、裁判所職員とは、文字どおりですが裁判所で働く職員のことで、国家公務員です。
ただし、「裁判官」も裁判所の職員の一種ではありますが、一般的に「裁判所職員」というと裁判官以外の職員を指すことが多いです。
特に、公務員試験の場面では、裁判所職員というと「裁判所事務官」、「裁判所書記官」、「家庭裁判所調査官」を指すことが多いです。
(なお、それぞれを略して、「事務官」、「書記官」、「家裁調査官」と呼ぶこともあります。)
この記事では主に裁判所事務官・書記官についてお話しします。
裁判所事務官とは
裁判所事務官は、一言で言うと、裁判所の裁判部・事務局で事務を担う存在です。
そもそも「裁判部・事務局とは?」という話ですが、各裁判所の組織は、大きく「裁判部」と「事務局」に分かれています。
- 裁判部:裁判官が事件を審理し、裁判をする部門。裁判所書記官・裁判所事務官・家庭裁判所調査官が配置され、裁判官とともに事件に対応する。
- 事務局:総務・人事・会計などを担当する部門。裁判部が裁判を行えるように、裁判所事務官が中心となって事務を行う。
裁判部では、書記官の補助事務や部署の庶務事務を行います。
具体的には、書記官の行う郵便物の作成発送・法廷の準備などの補助をしたり、電話・窓口対応や備品管理などの事務をしたりします。
事務局では、各部署での事務を担当します。
裁判部の事務官は書記官のサポート(補助)という面も強いですが、事務局では事務官がメイン(主)となってそれぞれの担当業務を行います。
イメージしやすい例でいうと、職員の給与計算や人事管理などを行います。
あとでも述べるとおり、書記官は事務官が試験を突破して任官するものですが、書記官になったあとも事務局に移動することがあり、その際は事務官に戻ることになります。
キャリアアップの一例
事務官として採用→試験突破→書記官に任官→事務局で係長に(事務官)→事件部で管理職に(書記官)
また、家裁調査官も、事務局の事務官となる場合があります。
裁判所職員採用 総合職試験(裁判所事務官)または一般職試験(裁判所事務官)に合格し、採用面接を突破すると、裁判所事務官となることができます。
(公務員試験の場面ではこれらの試験を「裁事」と略すこともあります。)
裁判所書記官とは
裁判所書記官は、固有の権限に基づいて、裁判官とともに個々の事件を担当する職員です。
裁判所の採用案内パンフレットでは「裁判手続のプロフェッショナル」と紹介されています。
具体的には、裁判官と事件の方向性について打ち合わせたり、法廷に立ち会い、そこでの法的なやりとりを「調書」として記録化したり、弁護士・検察官・訴訟当事者(原告・被告など)への連絡・対応をしたりします。
特に、法廷への立ち会いについては、書記官が立ち会わなければ法廷を開くことができません。
これらのような裁判事務を行うため、書記官は裁判を行う上で必要不可欠な存在であり、また、法的知識が求められる存在といえます。
書記官になるには、事務官として採用された後、研修を受けるための試験に合格し、さらに一定期間の研修を受ける必要があります。
もっと知りたい人向け
ここでは、書記官について、多少細かい、興味のある方向けの話をしていきます。
裁判所書記官の職務については、裁判所法第60条で、
- 裁判所の事件に関する記録等の作成および保管
- 他の法律において定める事務(一例:民訴法に定めのある送達事務)
- 裁判官の命を受けて行う法令・判例等の調査補助
といったものが定められています。
これらに含まれる調書作成や送達事務などは書記官固有の権限で行われるものであり、裁判事務・書記官事務の中でも重要なものに違いありません。
しかし実際には、書記官の職務には法定のもの以外の事務も多くあり、そのような事務のウェイトも非常に大きいです。
例えば、以下のような事務も行います。
- 訴訟当事者に対する手続説明、参考事項の聴取
- 裁判の期日間の進行管理(提出されるべき書面が提出されているかなど)
- 期日間の出来事も踏まえた、裁判官との事件の方針打ち合わせ
(たまに、弁護士からウェブ会議ツールの使い方を聞かれて「それは書記官じゃなくてツールを提供してる会社に聞けよ!!」みたいなツッコミを心の中で入れたり、入れなかったり…笑
ただ、円滑な裁判実施に必要な範囲で説明しますし、逆に、弁護士も可能な範囲で円滑な裁判の実現のために協力してくれていることも理解しています。)
若干余談が過ぎた感がありますが、書記官は、
- あるべき裁判の実現という目的に沿って
- 法改正・デジタル化などの変化に対応しながら
- 裁判を主宰する裁判官の方針を踏まえて
多様な事務を行う、面白みのある職です。少なくとも私は面白いと思いながら書記官をしていました。
公務員試験で裁事を受けようと思っている方、裁判所事務官になった方、ぜひ書記官を目指してみてください。
また、書記官に関する記事を今後もこのブログで更新していくので、ぜひご覧ください。
裁判所の他の職員について
裁判所には、事務官・書記官以外にも様々な職員がいます。ここでは代表的な3職種を紹介します。
家庭裁判所調査官
家庭裁判所調査官は、「家庭や非行の問題解決のプロフェッショナル」と位置づけられています。
(上でも述べた裁判所の採用案内パンフレットより)
家庭裁判所が扱う家事事件(離婚・親権など)や少年事件において、心理学・教育学などの専門的な知識を活かして関係者との面接・調査などを行い、裁判官の判断を助ける役割を担います。
採用試験も、通常の事務官とは異なる「裁判所職員採用 総合職試験(家庭裁判所調査官補)」の受験となります。
「家庭裁判所調査官”補”」としての採用から始まり、約2年の研修を経て、「家庭裁判所調査官」となります。
また、書記官と同様、家裁調査官も事務局の事務官に異動する場合もあります。
裁判官
裁判官は、事件の審理・判断(裁判)を行う存在です。
一般的な公務員とは異なり、
- 司法試験予備試験の合格 または 法科大学院(ロースクール)の修了
- 司法試験の合格
- 司法修習の修了
というルートをたどることで裁判官となることができます。
(検察官や弁護士となるための一般的なルートと同様)
なお、簡易裁判所の裁判官に限っては、裁判所書記官などとして一定の実務経験を積んだのちに、専用の試験に合格するというルートも存在します。
執行官
執行官は、判決に基づく強制執行などの手続を担当する存在です。
一例としては、借金を払わない債務者に対し不動産の差押えなどを行います。
簡易裁判所の裁判官と似たような感じで、裁判所書記官などとして一定の実務経験を積んだのちに、専用の試験に合格することで、執行官となることができます。
まとめ
それでは今回のまとめです!
裁判所事務官とは
- 裁判所の裁判部・事務局で事務を担う存在
- 裁判部では、書記官の補助事務や部署の庶務事務を行う。
- 事務局では、各部署での担当事務を主担当して行う。
- 裁事の試験を突破することで、なることができる。
裁判所書記官とは
- 固有の権限に基づいて、裁判官とともに個々の事件を担当
- 法廷立会・調書作成など裁判に不可欠な事務を担当
- 事務官として採用後、試験・研修を経ることで、なることができる。
その他の職員
- 家庭裁判所調査官:心理学などの専門知識を活かして調査を行い、裁判官の判断を助ける存在
- 裁判官:事件の審理・判断(裁判)を行う存在
- 執行官:判決に基づく強制執行などの手続を担当する存在

以上です!
少しでも裁判所事務官・書記官についてイメージを掴んでいただけたなら幸いです。
元裁判所書記官の行政書士、わみでした!
(行政書士としてのホームページはこちら→鷲見行政書士事務所(外部リンク))

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