【遺言・相続】弁護士に頼むべき?それとも司法書士?行政書士?元裁判所書記官が教える「相談先の考え方2選」

法律にまつわること

こんにちは、行政書士の鷲見凌弥と申します!
(ホームページ:鷲見行政書士事務所(外部リンク))

突然ですが、このような悩みを抱えてはいないでしょうか?

  • 遺言や相続について、誰に相談したらいいのかわからない…
  • 弁護士とか司法書士とか行政書士とか、いろんな肩書の人がいてわからない!

遺言や相続の手続は、人生で何度も経験するものではありません。

それにも関わらず、いざ調べ始めると「〇〇士」(士業)がたくさんいて、誰が自分に合っているのか迷うこともあると思います。

実際、遺言・相続は一つの専門家ですべて完結するとは限らず、状況に応じて適切な相談先を選ぶことがとても重要です。

相談先を間違えると、余計な費用や時間がかかったり、途中で別の専門家に相談し直すことにもなりかねないからです。

そこで、この記事では、

円満な遺言・相続手続をサポートする行政書士として、
また、実際に多くの訴訟の現場を見てきた元裁判所書記官として、

「どんな場合に、誰に相談すべきか」の考え方を2つ、可能な限りシンプルにお伝えします。
(シンプルな考えに収まりきらない要素は番外編でいくつかフォローしています。)



考え方① 遺言・相続について、すでに揉めているか?(高い確率で揉めそうか?)

揉めている場合・揉めそうな場合

まず最初に考えてほしいのが、「相続人同士で揉めているか、これから揉めそうか」という点です。

例えば、

  • 遺産の分け方について意見の対立が激しく、円満な話し合いが難しそう
  • 遺言の内容に納得していない相続人がいる

といったような、争いがある場合(争いになる可能性が高い場合)は、弁護士」に相談するべきケースです。

いわゆる「争続」「争族」化してしまっているケースですね。

弁護士は、争っている相続人間の交渉、調停や審判、訴訟など、法的な争いごと」を全面的に扱える唯一の士業です。

司法書士や行政書士は、紛争解決のために代理人として交渉すること等はできません。

(司法書士は、裁判所に提出する書類(訴状等)の作成はできますが、交渉や訴訟手続の代理人にはなれません。
また、「認定司法書士」と呼ばれる司法書士は、簡易裁判所で扱う事案については交渉や訴訟手続の代理も可能ですが、地方裁判所や家庭裁判所で扱う事案については提出書類の作成のみしかできません。)

「揉めているけれど(揉めそうだけれど)、書類の作成だけ別の士業に頼めば安く済むなぁ…」と考えても、相続人同士では解決できなかった場合、弁護士が必要になり二度手間になってしまう可能性があります。

そのため、考え方①として「遺言・相続について、すでに揉めている(高い確率で揉めそう)」という場合の相談先は「弁護士となります。

(この後の考え方②にも関連しますが、紛争解決後に「登記」が必要な場合、最終的に司法書士にも依頼することとなる可能性はありますが、先に紛争を解決して登記する内容を確定する必要があるため、当職として争いがある場合は先に弁護士に相談する方が良いと考えます。)



特に揉めていない場合

遺言・相続について特に揉めていない場合は、考え方②で考えましょう。

考え方② 遺言・相続に関する財産の中に、不動産(土地・建物)が含まれているか?

不動産が含まれる場合

次に考えてほしいのが、「相続財産の中に不動産土地建物があるかどうか」という点です。

不動産が含まれている場合、相続後には名義変更(相続登記)が必要になります。
(2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。)

この相続登記を専門的に扱うのが司法書士です。

行政書士は登記手続の代理や、登記申請書の作成をすることできません。

(弁護士は、権限上は登記に関して手続代理や書類作成をすることができます。ただ、(あくまで当職の印象ではありますが、)「餅は餅屋」考えから登記に関しては司法書士に任せている弁護士が多い印象です。)

「相続登記は必要だけど、頼める書類の作成だけ行政書士に頼んで、登記は自分でしよう。」と考えても、自分でやれると思った登記手続に想像以上に手間がかかったり、途中から司法書士に依頼して結局余計に費用がかかったりする可能性があります。

そのため、考え方②として「遺言・相続に関する財産の中に、不動産が含まれている」という場合の相談先は「司法書士となります。

不動産が含まれない場合

遺言・相続の場面で争いがなく、かつ、相続登記も不要の場合であれば、行政書士の出番です。

このような場合でも、

  • 自分の財産を「誰に」「どのように」遺すか指定する「遺言書」の作成
  • 遺された財産を相続人の間でどう分けるか決定する「遺産分割協議書」の作成

といった書類の作成や、それらに基づく手続(銀行口座の解約等)は行うこととなります。
(詳細な遺言・相続手続の流れについては、別途、解説記事を作成予定です。)

このような書類の作成は行政書士の業務であり、紛争解決や相続登記が不要なのであれば、弁護士や司法書士に依頼するよりも費用を抑えられる可能性があります。

※報酬額は一律ではなく、個々の弁護士・司法書士・行政書士が定めるため、行政書士への依頼がいかなる場合でも最安値になるとは言い切れません。実際に依頼する前に、見積りの金額・業務範囲をご確認ください。

また、行政書士は、法的な紛争に至った場合には関与できなくなることから、争いを未然に防ぐ「予防法務」に力を注いでいます

遺言・相続の場面でいえば、法的に有効であるだけでなく、残す側にとっても、残された家族にとっても納得感のある遺言書を作成することで、家族同士での争いを防ぐ(「争族」化を防ぐ)といった具合ですね。

元裁判所書記官として、遺言無効確認や遺留分の請求など、遺言・相続に関する訴訟事件を間近で見てきましたが、費用の面でも感情の面でも、予防法務は極めて重要であると感じます。

以上から、考え方②として「遺言・相続に関する財産の中に、不動産が含まれていない」という場合の相談先は「行政書士となります。

鷲見行政書士事務所では、遺言・相続に関するご相談も受け付けております。
詳細は事務所ホームページ(外部リンク)をご確認ください。



番外編① 相続税について

今までの考え方とは違う視点ですが、相続には税金(相続税)が発生する場合があります。

相続税には基礎控除があり、相続があれば必ず発生するというわけではありません。
基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の人数」です。
例えば、亡くなった方の家族が、被相続人(亡くなった方本人)と配偶者(亡くなった方の夫又は妻)と子ども1人の場合、法定相続人の数は2人となるので、
3000万円+600万円×2人=4200万円
相続財産が4200万円を超える場合には相続税が発生し、申告が必要となる一方で、
相続財産が4200万円までであれば、相続税が発生せず、申告も不要となります。
ただし、これは一例であり、相続廃除など個別的なケースにより結論が変わることもあります。

  • そもそも相続税がかかるのか?
  • どうすれば税金を抑えられるか?

といった税金の悩みの相談先は、「税理士(又は弁護士)です。

相続税の申告には「亡くなってから10ヶ月以内」という期限があります。

相続税の計算、申告、節税の検討については、早めに税理士と連携することが大切です。

番外編② その他の手続について

ここまでで触れられなかった手続・制度について、いくつかここで補足します。

自筆証書遺言書保管制度

2020年7月10日から、自筆証書遺言書を法務局に預けられる制度が始まりました。
この制度には、①紛失や改ざんの防止、②後述する「検認」が不要となるといったメリットがあります。
制度の利用について、士業に依頼することなく自身で書類を準備し、申請することも可能ですが、
もし書類作成を依頼する場合は、依頼先は司法書士(又は弁護士)となります。

遺言書の検認

上述した保管制度を利用しない自筆証書遺言書や、秘密証書遺言と呼ばれる遺言書は、家庭裁判所での検認手続が必要です。
こちらも、士業に依頼することなく自身で書類を準備し、手続を申し立てることが可能ですが、
もし書類作成を依頼する場合は、依頼先は司法書士(又は弁護士)となります。

相続放棄

相続人は、被相続人(亡くなった方)の権利や義務を一切受け継がないという選択をすることも可能ですが、そのためには原則「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」に家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。
こちらも、士業に依頼することなく自身で書類を準備し、申述することが可能ですが、
もし書類作成を依頼する場合は、依頼先は司法書士(又は弁護士)となります。
また、相続財産を処分した場合など、「相続放棄」ではなく「単純承認」をしたとみなされるケースもあります。法制度の一般的な説明を越えて、自分の場合は単純承認とみなされるのか?という個別具体的な相談をしたい場合の相談先は弁護士となります。

自動車に関する手続

自動車を相続した場合、自動車の名義変更をする必要があります。
こちらも、第三者に依頼することなく自身で書類を準備し、申請することが可能ですが、
もし書類作成や手続代理を士業に依頼する場合は、依頼先は行政書士(又は弁護士)となります。

鷲見行政書士事務所では、自動車に関する手続のご相談も受け付けております。
詳細は事務所ホームページ(外部リンク)をご確認ください。

農地に関する手続

田んぼなどの農地を相続した場合、相続登記の後に、相続開始を知った日から10ヶ月以内に農業委員会への届出をする必要があります。
また、農地を宅地に変えたり、農地を売却するような場合も、原則として許可を受ける必要があります。
農地に関する届出・許可の手続も、士業に依頼することなく自身で書類を準備し、行うことが可能ですが、
もし書類作成や手続代理を依頼する場合は、依頼先は行政書士(又は弁護士)となります。

鷲見行政書士事務所では、農地に関する届出・許可の手続のご相談も受け付けております。
詳細は事務所ホームページ(外部リンク)をご確認ください。



まとめ

遺言・相続の相談先は、次のように考えると整理しやすくなります。

  • 揉めている、揉めそう → 弁護士
  • 揉めていないが、不動産がある → 司法書士
  • 揉めておらず、不動産もない → 行政書士
  • 相続税が関係する → 税理士

この記事が、遺言・相続に関する相談先を決める一助となれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ご相談が必要な場合は、お気軽にお問い合わせください。

ご相談に関するお問い合わせ:鷲見行政書士事務所ホームページ(外部リンク)

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